コロナとお仕事

イギリス

Le chômage partiel 休業手当

忘れもしない、去年(2020年)3月…

3月の第2週に、月曜日からパリへ行って木曜日の朝にロンドンへ帰ってきた私。会社から電話がかかってきたのは、ロンドンへ戻ったその日の夕方だったと思います。

「フランス全土に Le confinement (外出禁止令)がでたから、来週から休業することになる。6週間の予定だから、今月は2週間、来月は丸1か月、休業手当(Le chômage partiel)扱いになるから。会社の方ですべて手続きすることになるから、そちらから何かすることはないと思うけど、わからないことがあったら、なんでも聞いてね」

このころは、こんな状態がこれほどまで長引くとは誰も思っておらず… 当面の3~4月(コンフィヌモンと呼ばれる外出禁止令中)に予定されていた展示会やイベントの中止決定におおわらわ。もちろん、開催されないとなると、会社の収益はないわけで… お給料を払わないといけない「リモートワークで続ける」という選択肢はなく、国からの補償がもらえる休業体制にすぐ入ることになりました。

まあすでにこの「コンフィヌモン」に入る前から、イベント業はいろいろと制約が付き始めていて(2月ごろから500人以下のイベントのみ開催可能だった)、なんとなく先行き怪しいのはみんな感じていたので。覚悟はできていたのですが…

私たちデザイナーはともかく、営業や現場担当は顧客や業者さんたちの対応に大忙し。すでに制作が始まっていたブースなどは、せめて材料費だけでも業者さんに支払われるようにしたり… 地方移動の予定だったホテル、電車予約のキャンセル、さまざまな会場サービスの払い戻しなど… 予定されていたイベントがすべて急遽ストップしてしまうというのは、なんと煩雑な問題を生み出すのかと、恐々としました。

しかし、私ほんとギリギリのタイミングでロンドンもどったのだな~と改めて実感。

この次の日よりコンフィヌモンが始まり、特に最初のやつは(この後何度もあるとはみんな思ってなかったけどw)、外出証明書を持参しないと外に出てはならない厳しいものだったので、もし1日遅れていたらロンドンへ戻れてなかったかもしれません。ユーロスターも便が1/3ぐらいに減ってたし。

(でも今思うと… このころはまだ海外への渡航禁止令は出ていなかった。)

そんなこんなで、突然「失業」状態になった私。

明日から何にもすることがな~~~い!!!

と、うれしいような、かなしいような(笑)。

いつもは仕事していた時間に、たらたらとビデオ見たりして過ごすのは、何となく罪悪感を感じたりして。ファイル整理したり(笑)。やっていた仕事を、とりあえずキリのいいところまでやってしまったり(使う予定ないのにw!!!)

この時は私だけ休業。イギリスはまだ通常運転してました。

この後、たしか2週間ほど遅れてイギリスも。こちらは 「Lock down ロックダウン」と呼ばれる外出禁止令が出されました。

そして誰も入ってこない島で、住人たちと顔を突き合わせて過ごす毎日が始まったのです(この話はまた)。

この最初のコンフィヌモンの間は、うちの会社の定例火曜日のスカイプ会議は続けられることになりました。今までは私だけが家から参加だったのに、初めての全員自宅からの参加(笑)。いろいろな事後処理の伝達や、業者さんの近況など… 緊張感の強い内容だったのを覚えています。

そうこうしているうちに、コンフィヌモン中とは言え、クライアントさんから新たなデザイン案件が出てきました。このころはまだ3~4月のイベントが中止になったのみで、5月のイベントですら(中止濃厚とはいえ)通常通り進められていました。

社長さんからは何事もなかったように、仕様書が送られてきて… 見積出さないとだから、いついつまでに仕上げてね!と。

……… いや、でも私。休業中だよね?

仕事するのは嫌じゃない。でも休業保険もらっている状態で、やってもいいのか? それに、ほぼ変わらないとはいえ…休業保険ですから(給料の85%だったっけ?)一応私の収入は減っている訳です。その状態で、無理気味なスケジュール「でやってね!」って社長(怒)。なんの説明もなく、当然のことのように。

でもまあ、こんな緊急事態です。助け合いの精神は確かに必要….? 出来るんだし、やればいいじゃん!と思う私と、いやいやいやいや。簡単に搾取されたらいかんでしょ!と思う私。

私の感覚がおかしいのかな~?と、同業の友達に聞いてみたら、やっぱりフランス人。「だめでしょ!それは!しかもばれたらすごい罰金払うことになるらしいよ!」

実際、そんな風に従業員を休業にして、裏で仕事させている会社が多々あったそうですが…

なので、私の感覚はまともだ!とは気が付いたのですが。それを、どうやって角が立たないように会社に伝えるか…(汗)

とりあえず案件は2つあって。ひとつは新規、もう一つは、すでにしてあった提案の手直しでした。

なので、手直しの提案をすぐやって、それを営業さんに送りつつ… 社長に「休業中に働いていると、監査があった時にすごいペナルティあるらしいですよ?こっちの手直しはコンフィヌモン前にやったって言えるからすぐ作りました。でも新規のほうは、日付入れないといけないから、ばれる可能性たかいですよ?そっちでとりあえず確認してから、また指示してくださいね(ニコニコ)」

仕事がいやじゃないのよ(実際手直しはやったでしょ)。ただルールに外れると、大変なのはそっちですよ?それでもいいの?いいならやるけど?

と言う感じ。

食えない社長なので、多分最初から知ってて指示してきたのだとは思うのですが、こういう風にでたら、やはりきちんと返事をせねばならず(笑)会計士さんに相談したみたいです。そしたら「それは絶対やってはだめ」と言われたみたいで(笑)。

この日より、働いた日数は月末に会社に報告。その日数分だけ通常のお給料+それ以外の日は休業手当。

というシステムに落ち着いて、今まで来ています。

なので… 厳密にいうと「去年の3月からずっと休業状態」というのは嘘です。月によっては、ほんの数日は働いています(笑)。

夏休みはパリへ

このころはまだ6週間の外出禁止令が終われば通常運転になるかも?と淡い期待を持っていたのですが…

それが状況が進むにつれ「イベント再開は早くても9月から」というのが明確になって、ガクンと仕事が減り。夏頃までは、ほんとに失業状態でしたね。

という訳で、仕事がないから時間がありあまる…

みんなやってたようですが(笑)、それこそ、買えない小麦粉をなんとか探してパン焼いたり、うどんこねたりと普段は時間がかかって作れないような料理をしたりして過ごしていました(笑)。

そのまま、パリには行かないまま(仕事が再開してなかったので行く理由もなく)7月にはいりました。

そろそろ秋口からのプロジェクトの話が出るようになり、ぼちぼちデザイン案件が入ってきました。もちろんスカイプ会議で何とかなるけど、そろそろ会社にも顔出したい!

娘は夏休みに入り、旦那もずっとリモートワークなので、どこでやっても一緒… それならパリ行くか!と家族3人で車でパリへ出発したのが7月半ば。

フェリー内はマスク必須でしたが、それ以外は自家用車の中なので普段と一緒。いつもは電車や飛行機の方が早いから楽だけど、今回だけはマスクしなくていいし、ほかの人を気にしなくていいから車のが楽ね~

なんて言っていたのを思い出します。

やっと、それなりの仕事量が入ってくるようになり(と言ってもイベントはまだない時期だったので、9月以降の準備ばかりでしたが)8月は有休2週も含めてだけど、完全に休業手当なしの通常運転。

やった~!と気持ちが引き締まる思いでした。

このコロナ渦に巻き込まれるまで、正直「私、この仕事(&この会社)ほんとに好きなのか?」と思うことあったのですが(苦笑)。こうして無理やり引きはがされてみると、「仕事したい!」という気持ちが自然に湧いてきたのが自分でもびっくり。

いやだ~と思うことも多々あったけど。結局、イベント業界好きなんだな~と実感しました(笑)

が、しかし。コロナは全然終わってなかった…… (涙)!

夏休みギリギリまでパリにいようと思っていたのに… 8月半ばに、イギリスが「国外から入ってくるときは2週間の隔離政策をとる」というニュースが入り、娘の学校に間に合うように、慌ててロンドンへと戻る羽目になりました。

その後あれよあれよという間に、また状況は悪化し…

フランス、2度目のコンフィヌモン!そして仕事も振り出しへもどり(涙)

イギリス、学校閉鎖!そしてこちらもまたロックダウン!

クリスマスは南仏に住む義理両親とも会えず、この島で家族3人で過ごすこととなり……

コロナに振り回された年が明け……

一人でパリへ

気が付けば、また3月。

そして私は、イベント予算がオフィス改装予算につながったという(笑・しかもみんなリモートワークなので改装グッドタイミングですよね^^)クライアントさんのお仕事のため、単身パリへ。

が、そのまま国境閉鎖(仏・英間)のあおりで数週間パリに足止めをくらいました。しかもパリは夜間外出禁止令で18時以降は外に出れない状況。旦那は結構心配していた、みたい(笑)。

でもそれはそれで、パリの友人たちに久しぶりに会えたり、太極拳の野外レッスンや合宿に参加出来たり。そしてロンドンに引っ越ししてからほったらかしにしていたアパートの断捨離をガツガツ進めたり… ^^;

意外ときっちり政府の言うことを聞いているイギリス人と比べ、フランス人はゆるい(笑)。罰金など、ペナルティはこっちの方が厳しいのに…! でも、変わらない仲間と楽しい時間を過ごせて、ほっとしました。

国境を通るための書類等を準備しながら、古巣のパリをかなり満喫して、この1年で(何気に)疲れ切った自分をチャージしちゃいました(笑)!

家族といるのは確かに安心。しかし、この1年… 娘は学校閉鎖で家にいることが多く、旦那もリモートワークでず~~~っと家にいる。

家事の負担が重くのしかかっていたのを、一人になってみると実感しました(笑)。

自分のことだけしてればいいのは、どんだけ楽なことか(笑)!

そして。

友達、同僚、太極拳仲間。

人と交流することが、どれだけ自分にとってリフレッシュになるのかも実感しました。

すでに4年目に入ったとはいえ、相変わらず英語は難しい(笑)。イギリスで思うような友達が出来ないのも、思うようなコミュニケーションができないのも、まあ、勉強不足な自分のせいなのですが…

コロナにしても、いろんな人のいろんな意見を聞くことで、自分の中で落ち着かせることが出来たと思います。怖い怖いだけじゃなくて。だからと言って「国の陰謀」でもないし(笑)。多分、いろんな意見の真ん中あたりが真実なんだろうな。

仕事の再開は?

フランスは、UNIMEV や LEADS と呼ばれる、イベント業者の企業団体があり、この企業団体が今回のコロナ対策でも政府と交渉をして休業手当の延長などを確約させています。

気になるイベントの再開時期に関しても、「いつから始まるのか、早めに公表してくれないと準備ができない!」と政府と話し合いがもたれ

「レストラン再開が決定される時点で、イベント関連の再開時期について公表する」

という公約を勝ち取ったとか。

今のところレストラン再開は 、フランスでは5月半ばに予定されている様なので(あくまで予定)、それが確定された時点でイベント関連もいつから始まるか公表されるということなんでしょう。順調にいけば、多分9月か10月ごろ、また500人規模の国内イベントから、ってとこでしょうか。

まあでも、去年のように秋からコロナのぶり返しが来るかもしれないし(怖)。

そして…… これだけ世界に影響を残したパンデミックの後に、すべて前のように戻るとは、さすがに考えずらい。私たちの生活にも、お仕事にも、何かしらの変化はあるでしょう。

どんなふうに変わるのか?

気になりますね。

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