Watermans Arts Centreで上映中
ロンドンへ来て、はや6か月。
観光らしい観光は全然してない、怠け者の私ですが…(笑) でも私の出不精の一つの原因は、
このアートセンターが充実し過ぎているせいもあると思う(笑)!
わが船から徒歩30歩くらいのところにあるこのセンター。週末にはファミリー映画やシアターがあるし。平日夜は、かなり私好みなマイナー映画を上映している。
11月~12月はフランス映画特集もあったし、渡辺謙の「王様と私」の映像上映もあった(見逃した~!超残念!)。会員になってるので、映画は9£。安いのも魅力(笑)。
なんか、わざわざ遠くに行かなくても、十分楽しめちゃう(笑)。
ここで、「万引き家族」も上映とあったので、もちろん観に行きました。
カンヌ映画祭でパルムドール賞受賞
特に映画マニアでもない私にとって、カンヌ映画祭受賞作ってすごいなと単純に思う反面…
観るのは「難しそうだな」という印象を持ってしまう(笑)。どちらかというと、暗めな映画が受賞してる印象。
カンヌ映画祭全体のイメージって、いわゆる「Bring Bring」ゴージャスな芸能人が、ミリオナーと高級レストランテラスを借り切って、たむろってるような 別世界。
でも選ぶ映画って、今回の「万引き家族」のように、社会の底辺の人々を描いた作品が多いよな~って。
なんなんだろ、それって(笑)。
ま、それは置いといて。是枝裕和監督はカンヌ映画祭の常連ですよね。
今回パルムドール賞を取ったということで、フランスでも大きく報道されていたので、とても気になってはいたのです。
悲しい優しい家族愛(ここからはネタバレあり)
この映画は、治と信代というカップルを中心に、血の繋がっていない祖母・子供たちが一つの家族を形成し生活している様子を描いた作品。
祖母の年金と、夫婦の稼ぐわずかな収入で暮らしているため、子供も万引きの仕方を覚えていく。
そんな中、親から虐待されている5歳の女の子に出会い、彼女を守ろうとする疑似家族が、だんだんと崩れていき、最後は崩壊してしまうお話。
父親と万引きをしていた男の子が、どうやらパチンコ屋の駐車場の車に置き去りにされていた赤ん坊だったとか、親から見放されてしまって家出中なのに探しもしない両親を持つ長女とか、前述の虐待されている少女。日本の、子供をめぐる社会問題がてんこ盛りといった具合。
でも、いろんな傷を抱えたそれぞれの人物が、なんとも優しい家族愛を築いていて… 見ていて切ない。
「お父さん」と呼ばれてみたい。父親らしいことを一生懸命やってみるけど、弱気で遠慮気味な治。
いつもきつい口調なのに、りんという少女を本当に守ろうとするし、最後に翔太に実親を探すヒントを与える心のやさしい信代。
樹木希林さんの祖母も、ほんと~~に自然で、ボケてて(笑)素敵だった。甘えたくなるおばあちゃん。
作品後半で家族が崩壊していく過程で、子供たちは自分たちの暮らしていた偽の家族の優しさに疑問を持たされる。警察なり、ソーシャルワーカーなりに、夫婦や祖母の過去、知らなかった事実を突きつけられる訳ですが。
それでもきっと彼らの中には、人を大事にする優しさが育っているね… と感じさせてくれるような、切ないラストでした。
彼らが守ろうとした少女が、結局、実親のところへ戻され… 虐待されていた頃と同じ状況に戻ったところで、映画は終わるのですが…
彼女は万引き家族と一緒に歌った数え歌を歌い、祥太と遊んだビー玉を持っている。
まだ自分でその状況を抜け出せる力はないけれど… 少し強くなった彼女を象徴しているように見えました。
ちなみに、日本の芸能界にはとんと疎い私ですので、この映画に出演している安藤さくらさんという女優さんを知りませんでした(笑)。でも、彼女すごい!
映画のインタビューで読みましたが、映画のラスト、彼女が泣くシーン。
インタビュー読むまでもなく、物凄く心に響く。くやしさや諦め、怒りとかいろんな感情が、全部ダイレクトに伝わってくるような泣き方… 切なすぎて、私も泣かされましたよ(笑)。
それに、彼女ってフランス人が求めるアジア女性の美しさを持ってると思う。あの眼付とか。
これからみに行かれる方はハンカチ必須ですよ~。
コメント